KTM 990 SMT インプレッション

バイク乗りには最高の季節、家の回りにも気持ち良さそうにバイクで走る姿を目にし、そんな中で自分のKL250は半年以上も入院から帰ってきていない。そんな悶々とする日々で、先日ちょっと足を伸ばしてKTMの試乗会に行ってきました。

お目当てのバイクは、KTM 990 Supermoto Tというモデル。

KTM 990 SMT
KTM 990 SMT

今までいわゆる「この手」のバイクには、あまり興味がありませんでした。見た目も好みではなかったし、ハーレーで北は北海道、南は九州まで旅をした経験から「いずれはまたハーレーを」と考えていました。以前所有していたファットボーイは、当時出たてのツインカム88Bエンジン。バランサーのお陰で振動も抑えられ、スムースでそこそこパワーもあリマした。しかし、ワクワク度で言えばそれ以前に乗っていたスポーツスターの方が格段に楽しかったです。その92年式のスポーツスターはオイルは漏れるし振動は激しいけど、それでも色んな所へ 出かけたくなる、そんな素敵なバイクでした。いつからかすっかり忘れていた、そういう旅ができるバイクをまた欲しくなってきてしまいました。

乗っていて楽しくないバイクで長距離を走ると、それはただの移動作業になってしまい、長時間ひたすら苦痛を味わう事になります。そういう事を幾度も経験しているので、どうせ乗るならやはり気持ちが良いバイクがいい。そしてエンジンはツインがいい。ではなぜこのバイクに行き着いたのか。

今はどんなバイクがあるのだろうかとネットで調べてみると、ほとんどのモデルがインジェクションを採用している事に驚きました。

バイクはキャブが当たり前だと思っていました(いかにブランクが長いか)。

バイク=機械。そういう固定概念が頭にこびりついているので、どうしてもインジェクションには馴染めませんでした。トライアンフのT595というバイクにも2年ほど乗っていましたが、エンジンの「味」というか、何かが物足りませんでした。そのかわりパワーは130psもあったけど、全開にしたのは数えられる程度です。フル加速すると脳みそがクラクラしました。もちろん楽しいバイクなんだけど、気合い入れて乗らなきゃいけないので、公道だとしんどく感じるようになりました。

その後もトラのボンネビル、ドカティSS1000DS、ハヤブサ、ビューエルなどを試乗しました。ボンネは自分にとっては大人しい、ドカは乗りづらい、ハヤブサは1速だけで十分(ちなみにどのバイクも自分は好きです)。

で、唯一楽しかったバイクがビューエルだったので、自分にはきっとハーレーのエンジンが性に合ってるのだろうと思っていました。ところが昨今のあまりのハーレーの多さに、「ハーレーをまた」という気持ちは次第に薄れてしまいました。

そんな中、次に興味が出たのがBMW。以前叔父がR100GSパリダカに乗っていて、それを借りて遠出をした時の事を思い出しました。福島の会津をグルッと、大体300km程度のタンデムツーリングでしたが、これがまた全然疲れないバイクなのです。

よく「BMは疲れないよ」とは聞いていたものの、ここまで楽チンだったとは想像以上でした。ツーリングから帰って来ても、まだまだ余裕で走れる余力が残っていました。当時はBMと聞けば「おっさん臭いなぁ」と思って敬遠していたが、まさか自分が興味がわくとは思いもしませんでした。

BMW Motorradのサイトを覗いてみる。が、興味があるモデルはありませんでした。何がどうしてこうなったのというバイクばかりで、しかも高い。ハーレーも無駄に高いが、BMWも負けずに高い。そして何より、ディーラーでしかメンテできない事が多すぎです。

そこで古いモデルのBMWを探すと、R100というモデルに辿り着きました。その中でもリトモ・セレーノがカスタムしたモデルにグッときました。そこからフラットツインを調べまくる日々が続き、海外にもたくさんセンスのいいカスタム車が数多くある事を知りました。今の暮らし方だと荒れた道を走る事があるので、オフ車のR100GSをベースとしたR100Rが第一候補になりました。奇しくも叔父と同じ系統のバイクです。

そこでふと、R100GSで走った時の事を思い出しました。独特のクセはあるけど快適だし、コーナーは安定してるし、申し分ない良いバイクなんだろうけど、ワクワクはしませんでした。理由を聞かれても具体的にどうだとは答えられないけど、ただ、ワクワクしなかった。きっと、もっと年をとったら良さが分かるのかもしれません。でも今の自分には、BMWはまだ早い気がしました。

Ducati Monster S2R1000も候補に上がりましたが、乾クラ(個人的には好きだけど)とタイミングベルトを交換するサイクルが短い、エンジンの耐久性などを考えて今はパス。

と、そんな風に行き詰まったので、もう一度自分の中での条件を見直してみました。

  1. 空冷ツインエンジン(キャブ)
  2. そこそこパワーがある
  3. タンデムが楽
  4. そこそこ荷物を積める
  5. メンテナンスを頻繁に要求されない
  6. 多少のでこぼこ道を走れる背の高さ
  7. 乗っていてワクワクできる

で、この条件で探すんだけど当てはまるバイクが見つからない。ボンネかスクランブラーがそうかもしれませんが、今の自分には少しパワーが物足りない。仕方がないのでキャブを諦めてみてみたものの、これといったバイクはありませんでした。そこで、今まで頭になかった「空冷」というキーワードを外すことに。そしてようやく目にしたのがKTMでした。

KTMの存在は知っていましたが、パリダカ11連勝とかオフロードのイメージが強かったのですが、調べてみると、オンロードモデルも色々と面白いラインナップがあります。そしてその中に、自分の条件に近いバイクを見つけました。それがKTM 990 SMTというモデルです。

いわゆるデュアルパーパスとよばれる部類になるのか、YAMAHAのTDMから始まった流れにあるバイクには、この記事の最初に書いた通り、今まで見向きもしなかったタイプです。基本的にカウル付きのバイクにも腰高のバイクにも興味がありませんでしたが、この990SMTにはハーフカウルも付いているし、腰高です。

それがなぜか、かっこ良く見えてきてしまったのです。

日に日に興味が深まり、試乗できないかを探しました。バイクはカタログスペックでは分からないからね。と、そこでさほど遠くない場所でKTMの試乗会があるとの事で、早速行く事にしました。

KTM 990 SMT

さっそくお目当ての990 SMTに試乗させてもらいました。去年乗馬する機会があって何度か馬に乗りましたが、そのイメージにとても似ていました。そう、とても馬っぽいバイク。

跨がっている所やポジション、バイクの曲線も何となく馬っぽい。ハーレーとは違う馬っぽさは、今までに感じた事のないツインの、とても心地よいものでした。それでいていざスロットルを開けると、一気に地面を蹴り猛烈な加速をします。駐車場での試乗だったので細かい旋回が多く、車体の取り回しに気を使いましたが、このバイクにはとても「ワクワク」しました。ちょっと最新のバイクを勘違いしていたかもしれないと、乗ってみてそう思いました。

余計な機能やパーツや機能が付いていないのも、好印象。シンプルなのが好きで、それで空冷やノンカウルが好きでしたが、このバイクならそんな条件はどうでも良くなりました。

Ready to Raceというコンセプトにありながら、長距離ツーリングでの様々なシチュエーションに対応する足回り、パワフルなエンジン、軽量な車体、そして耐久性と、多くの欲求をハイレベルで満たしてくれる、そんなマシン。試乗ではとても乗りこなせたものではありませんでしたが、これは長く付き合えるバイクだと直感でそう思えました。

KTM 990 Super Duke R
990 Super Duke R

ついでに990 Super Duke Rにも試乗。先ほどのSMTとは異なりとてもコンパクトで軽量、細かい旋回も楽だった。跨がった感じは中型バイクの様ですが、もちろんエンジン特性はまるで違います。SMTもSuper Dukeも、試乗するならもう少し広い所の方が色々分かるかもしれません。

125 Duke
125 Duke

今回の試乗コースの広さだと125 Dukeが一番楽しめました。しかもアクラポビッチ付きで、結構なサウンドを出していました。

今回初めて触れたKTMというメーカーは、とても良い仕事をしているなと感じました。車もバイクもニューモデルに魅力がない中、久々に良いものに出会えた気がしました。SMT、これで日本中を旅してみたいね。ホントに久しく忘れていたバイク熱を、呼び覚ましてくれました。

といっても、買う金ないんですけど。頑張って貯めよう!

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